天下を相手にするには、まだまだその器量を拡大してゆかねばならぬのである。
「旅がよい」
 人は歩くことだ。風光や雨雪が人の心をみがき育てる。その歩みの多さが、すわったときの人の大きさや重みにかわる。
(『介子推宮城谷昌光