僕栄(ぼくえい)の声に真実のひびきがあった。
 絶望的な境遇に身をおいて、はじめて自分という者がわかった声である。人はほんとうに独(ひと)りにならなければ、自分がわからぬものか。
(『孟嘗君宮城谷昌光