ここまで見てきたように、ピーターの本末転倒人間(またの名を職業的機械人間)には、自主的に判断を下す能力がありません。常に組織のルールや上司の指示に従うだけで、決断はしません。これが階層社会では有能と判断されます。したがって、本末転倒人間は昇進の対象になるのです。彼は昇進を続けることでしょう。ただし、不幸な昇進によって、自分で決定を下さなくてはならなくなったときが年貢の納めどきです。そこで彼は無能レベルに到達することになるわけです。
 つまり、職業的機械人間もピーターの法則の例外ではないということになります。
 私は学生たちに、常々こう言っています。
「有能か無能かは、見る人次第で変わる。善悪の観念もそうだし、美意識だってそう。ついでに言えばコンタクトレンズもそうだ。どれもこれも見る人の眼のなかにあるんだから!」
(『ピーターの法則 創造的無能のすすめローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル:渡辺伸也訳)

【の法則】