さてもそのサルめ、山中にて自在にあるくわ、走るわ、跳ぶわ、はねるわ。草や木を食らい、泉や谷川の水を飲み、山の花を採り、木の実を探すなどのいっぽうで、狼と仲間になり、虎と群れをなし、鹿と友だちになり、サルと親戚づきあいをする、夜は崖の下にやすみ、朝は峰の洞窟(どうくつ)のなかであそぶ、といったぐあいです。まこと、「山中に甲子(こよみ)なく、寒さ尽くれども年を知らず」とは、このことでありましょう。(『西遊記中野美代子訳)