ある春の日、アウシュヴィッツの生き残り、67歳のプリーモ・レーヴィは、アパート4階の自宅前の手すりを乗り越え階下のホールに身を投げた。遺書はなかった。それから9年……。夫人はいまもひとりきりでその場所に暮らし続けている。(『プリーモ・レーヴィへの旅』徐京植〈ソ・キョンシク〉)