このような例を見てくると、発見は朝を好むらしい、ことがわかる。
“三上”という語がある。その昔、中国に欧陽修〈おうようしゅう〉という人が、文章を作るときに、すぐれた考えがよく浮ぶ三つの場所として、馬上、枕上(ちんじょう)、厠上(しじょう)をあげた。これが三上である。この枕上というのは、普通は、夜、床に入ってからの時間のように考えられるが、そうではなく、朝、目をさましてから、起き上がるまでの時間ととれば、スコットも、ガウスも、ヘルムホルツも、枕上の実践家だったことになる。
(『思考の整理学』外山滋比古)