薄暗くほこりっぽい店内で探索していると、しだいしだいに、自分のなかでなにかが煮詰まっていくような息苦しい気分になり、快楽を通り越して苦役に近い域にはいりこんでいった。しかし、その時には、こうした苦痛をつらいものとは考えず、むしろ〈蒐集主義者〉(60年代風に言えば)にとっての冬の時代、〈オタク教信者〉(今風に言えば)としての受難とか受苦という感じでうけとめていた。(『編集狂時代』松田哲夫)