だが超越的秩序の宗教は、人間の勝手な思い込みの産物である。ある特定の風土の下で生まれた妄想を人類の普遍的救済原理であると考えることに、そもそも問題があったはずである。それだけではない。この妄想としての超越的秩序の宗教を最高のもの、文明のシンボルであるとみなすヤスパースアイゼンシュタットの文明論は、自分たちの欲望を貫徹するために仮想的をでっちあげ、妄想としての世界秩序を力ずくで強要することを容認し、間接的に支援した。(『一神教の闇 アニミズムの復権安田喜憲