FRBは事実上、世界に対して通貨戦争を布告しているのである。FRBの政策がもたらす問題として懸念されていることの多くが、すでに海外で現れつつある。アメリカドルが増刷されると、中国でインフレ率が上昇し、エジプトで食糧(ママ)価格が高騰し、ブラジルで株式バブルが発生する。ドルの増刷は、アメリカの債務の実質的価値が低下し、外国の債権者が安くなったドルで返済を受けることを意味する。ドルの価値の低下は、途上国の失業率の上昇につながる。途上国の輸出品の価格がアメリカ人にとって高くなるからだ。その結果生じるインフレも、銅、トウモロコシ、原油、小麦など、途上国が必要とする原材料の価格を上昇させる。諸外国は補助金、関税、資本規制などによって、アメリカ発のインフレを撃退しようとしており、通貨戦争は急速に拡大している。(『通貨戦争 崩壊への最悪シナリオが動き出した!ジェームズ・リカーズ:藤井清美訳)