1983年4月、京都産業大学の新入生たちは、歓迎講演会で面食らわされることになった。(中略)
 話の途中、居眠りをしたり関係のない本を読んだりしている学生がおれば、容赦なく叱りつけ、大教室から出て行かせた。若泉は、真剣であった。彼が述べたことは、国家としての日本に求めてきたことと通底していた。つまり学生たち一人一人こそ、とりもなおさず変わるべき日本人にほかならなかった。
(『評伝 若泉敬』森田吉彦)

若泉敬