現象的には、ローマ帝国は蛮族(ゲルマン)の侵入によって滅亡したかにみえる。しかし、ここにヒエロニムスが記しているように、「敵の剣より内乱によって」、「剣より飢えによって」、つまり、外力の破壊作用よりは、組織のインテグレイション解体によって、あるいはシステム不全によって、内部からくずれ去っていったのである。(『文明の逆説 危機の時代の人間研究立花隆