軍備拡張競争は、「内閣総理大臣ノ監督」がなくなって、再び陸海両軍のあいだの抗争となった。両者が競争をつづければ、陸軍は海軍に負けまいとして、同じように海軍は陸軍に負けまいとして、それぞれが潜在敵国の脅威を説くようになった。そうなれば、日本はアメリカと戦う運命にあるのだと人びとは思い、いつかはロシアと戦うことになると同じ人びとが思うようになるのは目に見えていた。(『日米開戦の謎』鳥居民)

日本近代史