「そのためには枝葉末節にとらわれないで、本質を見ることだ。文字や形の奥の方には本当の哲理のようなものがある、表層の文字や形を覚えないで、その奥にある深層の本質を見ることだ。世の中には似たようなものがあるが、みんなどこかが違うのだ。形だけを見ていると、これがみんな同じに見えてしまう。それだけ覚えていたら大丈夫、ものを考える力ができる」
 土肥原将軍の戦術講義は実に平易な話であったが、噛めば噛むほど味の出る奥深いものがあって、堀には一生忘れられない言葉であった。
(『大本営参謀の情報戦記 情報なき国家の悲劇』堀栄三)

戦争日本近代史