かのABCDラインは事実上の対日宣戦布告であったと米国でもその強引さが考証されている。最終的に戦争に勝利したとはいえ英蘭にとっては歴史的大迷惑であった。
 開戦早々に、英国海軍の戦艦プリンスオブウェールズとレパルスが撃沈され、世界一難攻不落を誇ったシンガポール要塞は実質3日で陥落(かんらく)、フィリピンではマッカーサーが屈辱の夜逃げ、あげくの果てには英蘭無条件降伏と彼らの白人優越感がたたき壊されたのだ。たかが黄色人種の一国に海で怯(おび)え、空でゼロ戦に追い回され逃げ回るなど想像もしなかったろう。
 この太平洋戦争は300年も植民地支配されて虐(しいた)げられてきたアジアに自信と勇気をもたらした。
(『余命三年時事日記』余命プロジェクトチーム)