他人に服のなかに手を突っ込まれると、まるでじぶんの内部を蹂躙(じゅうりん)されたような不愉快な気分になる。なんと無礼な、ということではきっとすまず、むしろ生理的に耐えがたいような危うさを感じるはずだ。服のなか、そこは〈わたし〉のなか、秘せられてあるべきわたしの内部なのである。(『悲鳴をあげる身体鷲田清一