問題なのは、窓ガラスが割られた状態で放置された車の例でも、その地域全体のち庵が悪化したわけではなく、秩序の乱れや逸脱は、車の周囲に限定されているということである。
 つまり、割れ窓を取り除く効果は、秩序の乱れの及ぶ範囲や逸脱の範囲に一定の限界を持っているということであり、たばこのポイ捨てや落書き、小さな違反行為などをターゲットにした場合には、「割れ窓理論」は、その行為に限って効果がある可能性があるが、その効果に限界があるということである。
(『2円で刑務所、5億で執行猶予』浜井浩一)