世界は私のことなど考えていない。世界には何の考えもないのだ。それはたんに物と人、品目などの偶然の集まりなのだ。そして私自身もその中の一つの品目にすぎないのだ。――つまり私は、だれもが見たり、無視したりすることのできる、歩道を歩いている子どもにすぎない。いま私が感じている圧倒されるような感情は、必ずしも世界が引き起こすものではないのだ。そういう感情は、私の内側にある。私の皮膚の下に、私の胸骨の下に、私の頭蓋骨の下にあるのだ。そしてそれは、ある程度まで、私の自由にさえなるのだ。(『アメリカン・チャイルドフッドアニー・ディラード柳沢由実子訳)