人類(マン)は考えた――人類は精神的にはひとつだ、と。彼は何億兆もの年をとらぬ肉体から成りたっていた。それぞれの肉体は、おのれの場をもち、静かに休んでいる。完璧な自動装置に見守られている。すべての肉体をもつ心は、個人個人が弁別できぬほどひとつに溶けあっていた。(『停滞空間アイザック・アシモフ:伊藤典夫訳)