また、自閉症児は「対人関係を持たない」あるいは「持てない」ともいわれます。でも私は、これまでの臨床経験から、対人関係を持てないのではなく、対人関係を拒否するという形で彼らは人間関係を形成していると認識しています。
 たとえば、そばに誰か近づくと逃げるという行動をとる自閉症の子どもは、逆にいえば他人を意識しているがゆえに逃げる行動をとっていると私は考えています。
(『自閉症の子どもたち 心は本当に閉ざされているのか酒木保