母親にそうじを手伝えと言われて、うちの娘が言う。
「どうせまた汚れるんだから、そうじなんか、しなくてもいいじゃない」
 そういう人は、どうせ死ぬんだから、生きなくてもいい。そう言うのであろうか。どうせまたおなかがすくのだから、食べたって同じよ。そう思うのだろうか。
(『解剖学教室へようこそ養老孟司