甲野●このあいだ工業デザイナーの秋岡芳夫(あきおか・よしお)先生をお訪ねしたとき、いろいろうかがいまして、面白かったのは、畳がなぜこの大きさなのかという話です。あれは、織田信長が決めたとおっしゃるんです。つまり平時には敷いておいて、いざというときに持ち上げて盾にする。鉄砲玉がきたときの盾になるんです。身が隠れるだけの高さ、幅、それと厚みが当時の火縄銃なら貫通しないということであの大きさを決めたんですね。(『古武術の発見 日本人にとって「身体」とは何か養老孟司甲野善紀