この本は、殺戮されたおびただしい人びとに代わっておこなう【魂の叫び】であり、権力にしがみつこうとする人びととは想像上の差異を有するという理由で、マチェーテ〔山刀〕で切り裂かれた人びとへの鎮魂である。またこれは、典型的な冷戦期の平和維持部隊のための規則書(ルールブック)では想定されていなかった課題に直面し、有効な解決法を見出すことができなかった一人の司令官の物語である。あたかもその懲罰であるかのように、自分の部隊の何人かが命を落とすのを、一つの民族集団を絶滅させようとする試みを、胎内から出てきたばかりの子供が殺されたのを、薪のように積み上げられた無数の手足を、陽の光にさらされて腐ってゆくばらばらにされた死体の山を、私はこの眼で見たのだ。(『なぜ、世界はルワンダを救えなかったのか PKO司令官の手記ロメオ・ダレール:金田耕一訳)

ルワンダ