宮崎●そういう懐疑的態度、ないしは批判的姿勢というのはとても大切で、むしろ仏教の本旨にそぐわしいものです。ブッダは初期教典で、自分が口にしたどんなに清らかで明瞭な見解にさえしがみついてはならない、と弟子たちを戒めています。あらゆる教説や構想は疑われ、吟味されるのが当然で、ブッダ自身の言葉だからといって宝物のように扱ったり、執着すべきではない、と。(『知的唯仏論 マンガから知の最前線まで ブッダの思想を現代に問う宮崎哲弥呉智英