私は手当たり次第、戦友の骨を集め、【だび】に付しながら、とめどなく流れてくる涙をふせぎようもなかった。戦後の21年間、祖国の私たちは彼らのために何をしてきたのか。平和になれて、その礎(いしずえ)となった彼らを地獄さながら洞窟内に放置してきたではないか……。
 この小さな島でくりひろげられた戦闘は、事実、私の戦ったアンガウル島とならんで、その壮絶さは世界戦史上、はじめての例であるともいう。その恐怖は米軍戦史にも明らかであり、頑強な抵抗がようやく終わったのち、米軍は「これほど高価な代償を払ってまで、占領しなければならなかったのか」と述懐しているくらいである。
(『ペリリュー島玉砕戦 南海の小島七十日の血戦舩坂弘

ペリリュー島戦争日本近代史