日蓮の筆力は、単に強いというだけではない。粘りがある。呼吸が長い。粘り強さから言っても、呼吸の長さから見ても、筆力のすごい気魄に圧倒されるばかりだ。しかしそれにしても、凄まじい気魄と共に、どこか明るく、ふっきれたものを感じさせる。自己を信じきった筆力は、そこにも精神と直情の強さを見せている。(『百人一書 日本の書と中国の書』鈴木史楼)