自分のやるべきことに集中し、とても実際的で身近なことを考えているときに、誰かから、4分間の砂時計と7分間の砂時計だけを使って9分を測れるか、という問題を出されたとしてみよう。たぶん、そんなつまらないことに割く時間はないと言い返して、断るだろう。しかし、問題が頭から離れず、そのうちに、二つの砂時計を同時にスタートさせたらどうなるだろうと考え始める。4分間の砂時計が終わったとき、7分間の砂時計にはまだ3分が残っているはずだ。そこで、それをうまく利用できる方法はないかと探し始める。3分と4分、それに4分は測れる。でも、それを使ってどうやったら9分が測れるのか。すっかり夢中になってしまい、この問題が解けるまでは、それまでの実際的な思考はどこかに追いやられてしまった。(『「数独」を数学する 世界中を魅了するパズルの奥深い世界』ジェイソン・ローゼンハウス、ローラ・タールマン:小野木明恵訳)