人間に関心をもつかぎり、神秘的と考えられる体験を無視すべきではない。だが、このような体験があることから、ただちに科学を超越したものが存在すると結論することはできない。それが妄想とか幻覚の場合もあるからである。
 心理学が、精神現象を「意識」だけで説明したことがあったが、この意識的心理学は神秘的体験を説明できなかった。その後、心のなかに、われわれが通常意識していないものがあることが認められ、「無意識」の概念が導入されたが、この研究(深層心理学)によって神秘的体験の多くが説明可能になったことは、本書で論じたとおりである。
(『神秘の世界 超心理学入門』宮城音弥)

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